【実践事例2】売れる店舗と売れない店舗の“なぜ”に挑む

― 家具販売チェーンが売上格差4.3倍から1.7倍へと改善したプロセス
◆ はじめに
関西圏にて複数店舗を展開する家具販売チェーン様から、F6 Designにご相談いただいたのは、「売れる店と売れない店の違いがわからない」という切実な課題からでした。
経営陣は販売データに目を通すものの、具体的な改善の打ち手が見えず、現場の士気もまばらになっている状況。
また、倉庫には過剰な在庫が積み上がり、キャッシュフローにも影響が出始めていました。
◆ クライアントが抱えていた課題
F6 Designが現地ヒアリング・販売データ分析・現場観察を実施した結果、次のような構造的問題が浮かび上がりました。
① 店舗ごとの売上格差が大きく、スタッフ間のモチベーションにも影響
最も売上の高い店舗と、下位の店舗では売上が最大4.3倍も開いている状況。
当然、インセンティブや社内評価にも影響が出ており、下位店では「どうせ評価されない」といった諦めムードが漂っていました。
② 売れる店舗と売れない店舗の違いが「感覚」に頼っていた
本部としては“人気商品”“立地”といった漠然とした理由で片付けられており、「どこをどう真似すればいいのか」が現場に伝わっていない。
属人的な接客やレイアウトに頼っているため、再現性のあるノウハウとして蓄積されていませんでした。
③ 在庫の偏りと回転率の低下がキャッシュを圧迫
仕入れの基準が店舗ごとに異なり、売れ筋・死に筋の管理も曖昧。
その結果、月間の在庫回転率は1.3と低迷し、倉庫保管費も膨らんでいました。
◆ F6 Designのアプローチ
私たちがまず重視したのは、「感覚を可視化」し、「ノウハウを仕組みにする」こと。以下の3つの施策を段階的に実行しました。
1|ベスト店舗の“勝ちパターン”を横展開できる仕組みに
売上上位の2店舗に対し、接客フロー・商品配置・POPの設置位置・滞在時間の計測までを徹底的に調査。
そこから得られた“勝ちパターン”を他店舗にも展開可能なテンプレート化を実施。
また、社員の声を活かし「お客様導線マップ」も作成し、レジ前の回遊性向上や、売れ筋の視認性改善を実施しました。
2|週次KPI報告フォーマットを統一し、“勝ち筋”を共有化
店舗責任者が毎週提出していた報告内容を統一フォーマット化。
売上・接客数・客単価・成約率などを数字で揃え、「上手くいっている店の行動」を“言語化”して社内共有。
この週次レポートは月例オンライン共有会でも活用され、現場同士の学び合いが生まれるようになりました。
3|在庫回転率の改善を目的としたバイヤー会議を設計
バイヤー主導の仕入れ判断を見直し、店舗側のリアルな販売データと連携して意思決定できる会議体を新設。
過去の実績・今月の動向・次月の予測を3ヶ月単位で管理するスプレッドシートを導入し、仕入れ量と販売見込みのギャップを見える化。
また、「売れなかった商品」の分析会も同時に行い、売り方の失敗なのか、そもそも仕入れ判断ミスなのかの振り返り体制も構築しました。
◆ 得られた成果
導入から約半年後、目に見える成果が店舗全体に現れ始めました。
✅ 売上格差が最大4.3倍 → 1.7倍へ縮小
行動指針が明確になったことで、下位店舗の底上げに成功。
「成果が出る動きをすれば、売れる」という認識がスタッフ全体に浸透しました。
✅ 全体売上前年比:+18.6%
POP改善・導線整備・リピート商品配置など、細かな現場改革の積み重ねにより、全体のCVRが改善。
さらに「買う予定はなかったけどついで買いした」といったお客様の声も増加しました。
✅ 在庫回転率:月1.3 → 月2.1に改善
販売見込みと仕入れの精度が上がり、倉庫スペースの余剰も半減。
本部からは「ようやくキャッシュが回り始めた」との声も。
◆ 現場責任者の声
「“仕組み化”という言葉がこんなに現場に合うとは思いませんでした。F6 Designさんが現場を丁寧に観察し、再現可能な方法に落とし込んでくれたことが大きかったです。」
「店舗間で“競争”ではなく“共有”が生まれるようになったのは、大きな変化だと思います。」
◆ まとめ
この事例は、属人化したノウハウを共有財産に変えるプロセスを描いた実例です。
数字と仕組みによる可視化が、組織全体の共通言語を生み、結果として人と利益の両方を活性化させました。
F6 Designは、企業様の“見えない壁”を可視化し、組織の再成長を支援いたします。